【現役ぶどう農家が解説】ぶどうはなぜ色付く?夜温が高いと着色障害が起こる理由を分かりやすく解説

毎年夏になると、

「今年は巨峰の色がなかなか付かない」

「赤いままで黒くならない」

という声をよく聞きます。

私も毎年巨峰を栽培していますが、着色の良し悪しは天候に大きく左右されます。

特に影響が大きいのが、

**夜の気温(最低気温)**です。

昼の最高気温ばかり気になりますが、実はぶどうの着色には夜の涼しさが重要です。

今回は、ぶどうが色付く仕組みと、夜温が高いと着色障害が起こる理由を、具体的な温度も交えながら解説します。


結論

黒系ぶどうが色付くのは、

アントシアニンという色素が果皮に蓄積するからです。

しかし、

最低気温が高い夜が続くと、

アントシアニンが作られにくくなり、

着色障害が起こります。

一般的な目安は次のとおりです。

  • 最低気温15〜20℃ …… 着色しやすい
  • 最低気温20〜23℃ …… やや着色が鈍ることがある
  • 最低気温23〜25℃以上 …… 着色障害が起こりやすい
  • 最低気温25℃以上(熱帯夜)が連続 …… 着色不良のリスクがかなり高くなる

もちろん、品種や樹勢、日照条件によって変わりますが、最低気温は着色を予測する重要な指標になります。


ぶどうの色は「アントシアニン」

巨峰やピオーネなど黒系ぶどうの紫色や黒色は、

アントシアニン

という天然色素です。

ベレーゾンが始まると、

ぶどうは成長から成熟へ切り替わります。

すると、

葉で作られた糖が果粒へ運ばれ、

その糖を材料にアントシアニンが作られます。

つまり、

甘くなることと色付くことは、どちらも葉で作られた糖が出発点です。


昼は糖を作る時間

昼間、

葉では光合成が行われます。

太陽の光を利用して、

糖がたくさん作られます。

この糖が、

  • 甘味
  • アントシアニン

両方の材料になります。

そのため、

ある程度の日照は着色にも欠かせません。


夜は色を作る時間

昼に作られた糖は、

夜になると果粒の中で利用されます。

その一部が、

アントシアニンになります。

つまり、

夜は色素を作る大切な時間なのです。


夜温が高いと何が起こる?

ここが一番重要です。

夜温が高いと、

ぶどうは呼吸を活発に行います。

呼吸とは、

糖を燃やして生命活動のエネルギーを作ることです。

つまり、

昼に一生懸命作った糖を、

夜のうちにどんどん消費してしまいます。

その結果、

色素を作るために使える糖が減ってしまいます。


アントシアニンを作る酵素も働きにくくなる

夜温が高いと、

糖が減るだけではありません。

アントシアニンを合成する酵素の働きも低下すると考えられています。

つまり、

  • 材料が少なくなる
  • 色素を作る工場の働きも鈍くなる

という二重の影響を受けます。

そのため、

赤いままで止まったり、

黒く色付くまで時間がかかったりします。


昼夜の寒暖差が大切な理由

昔から、

「昼夜の寒暖差が大きい年は色付きが良い」

と言われます。

これは経験だけではありません。

例えば、

昼が35℃まで上がっても、

夜が18℃まで下がれば、

呼吸は抑えられ、

昼に作った糖を色素の合成に使いやすくなります。

反対に、

昼が35℃で、

夜も27℃だった場合は、

夜中も呼吸が盛んになり、

糖を消費してしまいます。

同じ35℃の昼でも、

夜が18℃か27℃かで着色は大きく変わるのです。


最近は着色障害が増えている理由

近年は猛暑だけでなく、

熱帯夜も増えています。

例えば、

最低気温が26〜28℃という日が何日も続くことがあります。

こうなると、

ぶどうは夜になっても十分に休めません。

そのため、

着色障害が起こりやすくなります。

私も毎年栽培していますが、

最高気温より最低気温を気にすることが増えました。

昼が暑くても、

夜が20℃前後まで下がる年は比較的着色が進みます。

逆に、

夜が25℃以上の日が続く年は、

「今年は色が遅いな」と感じることが多いです。


農家ができる対策

夜温そのものを下げることはできません。

そのため、

管理でできることは、

  • 樹勢を強くしすぎない
  • 適正な着果量にする
  • 房の周りを適度に明るくする
  • 窒素を効かせすぎない

といった基本管理です。

これらを積み重ねることで、

高温年でも着色しやすい樹づくりにつながります。


まとめ

ぶどうの着色は、

昼間に作られた糖を材料に、

夜間、果皮でアントシアニンが合成されることで進みます。

しかし、

最低気温が高い夜が続くと、

  • 呼吸で糖を多く消費する
  • アントシアニンを作る酵素の働きが低下する

ため、着色障害が起こりやすくなります。

目安としては、

  • 15〜20℃:着色しやすい
  • 20〜23℃:やや注意
  • 23〜25℃:着色障害が起こりやすい
  • 25℃以上:着色障害のリスクが高い

と考えると分かりやすいでしょう。

私も毎年、夏になると最高気温だけでなく最低気温も確認しています。

ぶどうの色を決めるのは、昼の暑さ以上に「夜がどれだけ涼しくなるか」なのです。

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