「農家は除草剤をたくさん使っている。」
そんなイメージを持つ方もいるかもしれません。
実際、私もぶどう園で除草剤を使っています。
そのことを書くと、
「危険ではないですか?」
「食べても大丈夫ですか?」
と聞かれることがあります。
今回は、現役ぶどう農家として、
除草剤の毒性や安全性について、賛成・反対どちらにも偏らず考えてみたいと思います。
結論
私の結論はこうです。
除草剤は「安全」でも「危険」でもなく、正しく使うことが重要な農薬です。
包丁も使い方を間違えれば危険です。
自動車も事故を起こせば危険です。
除草剤も同じです。
一方で、
「農薬だから絶対安全」
とも思っていません。
だから私は、
ラベルを守り、
必要以上には使わないようにしています。
私もぶどう園で除草剤を使っています
まず最初に、
私はぶどう園で除草剤を使用しています。
理由は単純です。
草が伸びすぎると、ぶどう栽培にも悪影響があるからです。
例えば、
- 作業しにくい
- 病害虫が増える
- 湿度が上がる
- ヘビや害虫が隠れる
- 草刈り時間が大幅に増える
などです。
草刈りだけでは回らない
「全部草刈りすればいい」
という意見もあります。
確かに理想です。
でも現実は違います。
ぶどう農家の夏は、
- 消毒
- 摘粒
- 袋掛け
- 傘掛け
- 収穫
など仕事が山ほどあります。
草刈りだけで毎週何十時間も使うと、
本来やるべき管理が遅れてしまいます。
その結果、
病気が増えたり、
品質が落ちたりすることもあります。
だから私は、
草刈りと除草剤を組み合わせています。
一番よく使われるのがグリホサート
日本で最も使われている除草剤の一つが、
グリホサートです。
有名なのはラウンドアップですが、
同じ有効成分の製品はたくさんあります。
グリホサートは、
葉から吸収され、
植物全体へ移動し、
根まで枯らします。
一方で、
土に散布しても、
土壌中の粒子に強く吸着しやすく、土壌中で徐々に分解される性質があります。
そのため、
一般的な使用方法では土の中を大きく移動しにくいとされています。
「海外で禁止」は本当?
よく、
「海外では禁止になっている」
という話を聞きます。
これは半分正しく、
半分誤解があります。
確かに、
一部の国や自治体では、
公共施設や公園などで使用を制限している例があります。
一方で、
世界中で全面禁止になっているわけではありません。
現在も、
多くの国で農業用として登録され、使用されています。
つまり、
「海外では全部禁止」
という情報は正確ではありません。
発がん性はあるの?
ここが一番議論になるところです。
国際がん研究機関(IARC)は、
グリホサートを
「ヒトに対しておそらく発がん性がある(グループ2A)」
と分類しています。
一方で、
日本の食品安全委員会や欧州食品安全機関(EFSA)、欧州化学品庁(ECHA)、アメリカ環境保護庁(EPA)などは、
通常の使用条件では、発がん性を示す十分な証拠はない
という評価をしています。
つまり、
評価機関によって、
「何を評価したのか」
「どのような証拠を重視したのか」
が異なります。
だからこそ、
この問題は今でも議論が続いています。
私が考えるリスク
私は、
「危険だから全部やめる」
とも、
「絶対安全だから気にしなくていい」
とも思っていません。
農薬である以上、
リスクはゼロではありません。
だから、
- 希釈倍率を守る
- 防護具を着ける
- 風が強い日に散布しない
- 必要最小限の使用にする
これを守っています。
除草剤にもメリットはある
除草剤を使うことで、
草刈り時間を減らせます。
その時間を、
- 病害虫防除
- 摘粒
- 品質向上
に使えるなら、
結果として、
良いぶどうを作ることにつながる面もあります。
農業では、
「何を減らすか」
も重要な経営判断です。
一方でデメリットもある
もちろん、
デメリットもあります。
例えば、
- 誤散布で樹を傷める
- 耐性雑草が増える
- 周囲への飛散リスク
- 散布者自身の曝露リスク
などです。
だから、
「便利だからたくさん使えばいい」
というものではありません。
私の考え
私は、
除草剤は、
使う・使わないの二択ではない
と思っています。
大切なのは、
必要な場所だけ、
必要な量だけ、
正しく使うこと。
そして、
草刈りだけで管理できる場所は、
できるだけ草刈りを選ぶ。
これが今の考えです。
まとめ
除草剤には、
メリットもあれば、
デメリットもあります。
危険性だけを強調するのも、
安全性だけを強調するのも、
現実とは少し違うように感じます。
現役ぶどう農家として私が大切にしているのは、
「使うか、使わないか」ではなく、「どう使うか」です。
ラベルを守り、防護具を着用し、必要最小限に使用する。
その上で、草刈りと組み合わせながら園地を管理する。
これが、今の私にとって一番現実的で、事故の少ない管理方法だと考えています。

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