規模拡大農家がワイン用ぶどうを主力にするときの落とし穴

― 出口が一つしかないというリスク ―

はじめに

規模拡大を考えたとき、
生食用ぶどうより
ワイン用ぶどうの方が向いている
と言われることがあります。

理由は明確で、

  • 栽培管理が比較的シンプル
  • 房づくりや摘粒が不要
  • 大面積を一人でも回しやすい

確かに、
「面積を広げて売上を作る」
という発想では、
ワイン用ぶどうは合理的です。

ただし、
実際に周りを見ていて、
思わぬ落とし穴もあると感じています。


結論:ワイン用ぶどうは「出口が一つ」になりやすい

結論から書きます。

ワイン用ぶどうは、
用途がワイン原料に限定される
という性質上、
買い手がほぼワイナリーに限られます。

つまり、

ワイナリーの事情が、
そのまま農家のリスクになる

という構造があります。


ワイン用ぶどうは「売り先が選べない」

ワイン用ぶどうは、

  • 生食には向かない
  • 規格もワイン用
  • 流通もワイナリー前提

そのため、

  • 市場出荷
  • 直売所
  • 一般消費者への販売

といった
別の出口を作りにくい
という特徴があります。


ワイナリーの売上が落ちるとどうなるか

ワイナリーは、
ワインが売れてこそ成り立ちます。

  • 在庫が増える
  • 売上が落ちる
  • 生産量を抑える

こうなると、

原料ぶどうを
予定どおり受け入れられない

という事態が起こりえます。

農家側が、

  • ちゃんと作っていても
  • 収量があっても

買い手の都合で出口が狭まる
これは、
意外と大きなリスクです。


規模が大きいほど影響も大きい

ワイン用ぶどうを主力にして、
規模を拡大している場合、

  • 面積が大きい
  • 収量も多い
  • 代替の売り先がない

この状態で
受け入れが止まると、
影響は一気に出ます。

これは、
経営リスクとして無視できません。


生食用ぶどうは「出口が複数ある」

一方で、
食べる用のぶどうは、

  • 農協出荷
  • 直売所
  • 個人販売
  • 贈答用

と、
出口を分散しやすい
という特徴があります。

農協出荷に依存しなくても、
一般消費者に直接売る
という選択肢が残ります。


主力をどこに置くかは「出口の数」で決める

栽培の手間だけを見ると、

  • ワイン用ぶどう:楽
  • 生食用ぶどう:手間が多い

となりがちです。

ただ、
経営として考えるなら、

出口が何個あるか

ここも
同じくらい重要だと感じています。


ワイン用ぶどうが悪いわけではない

誤解しないでほしいのですが、

  • ワイン用ぶどうがダメ
  • 規模拡大が悪

という話ではありません。

ただ、

  • 主力をワイン用一本にする
  • 出口をワイナリー一社に依存する

この形は、
リスクが見えにくい
というだけです。


私が思う現実的な考え方

個人的には、

  • ワイン用ぶどうで規模を作る
  • 生食用ぶどうで出口を分散する

こうした
組み合わせは、
かなり現実的だと思っています。

作業性と、
経営の安全性。

どちらか一方ではなく、
両方を見る必要があります。


まとめ:作りやすさより「売りやすさ」

  • ワイン用ぶどうは出口が限定される
  • 買い手はほぼワイナリーのみ
  • ワイナリーの売上が農家に直結する
  • 生食用ぶどうは出口を分散しやすい

規模拡大を考えるときほど、
栽培の楽さだけでなく、
売り先の数を見る。

これは、
長く農業を続けるうえで
かなり大事な視点だと感じています。


このブログのスタンス

このブログでは、

  • 技術論より
  • 経営が事故らないか

その視点で、
現場の判断を書いています。

ワイン用か、生食用か。
正解は一つではありません。

ただ、
出口の形を理解したうえで選ぶ
それができれば、
後悔は減らせると思っています。


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