― 売上こそ正義だと思い込んでいた就農初期 ―
はじめに
就農したばかりの頃、
私は規模拡大主義に完全にハマっていました。
売上を伸ばすことが正解。
とにかく作れば、
とにかく売れば、
なんとかなる。
今振り返ると、
かなり危うい考え方でしたが、
当時はそれを疑いもしませんでした。
結論:売上は伸びたが、経営は回っていなかった
結論から言うと、
就農当初の私は、
- 売上だけを見て
- 現場と自分の限界を見ていなかった
結果として、
経営はまったく回っていませんでした。
数字は前に進んでいるように見えて、
実態は後退していました。
就農当初は「売上こそ正義」だった
当時の私は、
- まずは規模を広げろ
- 面積を増やせ
- 売上を作れ
そう言われることが多く、
それをそのまま信じていました。
若かったこともあり、
「できるはずだ」
「やらなきゃ意味がない」
そんな気持ちが先に立っていました。
無理をしてでも作業を詰め込んでいた
繁忙期は、
夜にヘッドライトを付けて作業することもありました。
- 寝不足
- 集中力の低下
- 判断の鈍り
今思えば、
無理をしているサインは
いくつも出ていました。
それでも、
「今だけだから」
と言い聞かせて続けていました。
出荷先を増やしすぎた結果
売上を伸ばそうとして、
- マルシェ出店
- 直販
- 直売所への出品
- 農協出荷
と、出荷先を増やしました。
ぶどうの収穫期は、
だいたい1か月近くあります。
一見すると、
期間が長い分、
出荷先を分散しても問題なさそうに思えます。
ですが、実際は違いました。
マルシェに出店すると、
その日はマルシェ対応が最優先になります。
- 収穫
- 調整
- 準備
- 接客
これに時間を取られ、
畑での収穫量は
100房にも満たない日が出てきました。
数字で見ると、問題ははっきりする
当時のトータル房数は、
約2万房です。
収穫期の中で、
- 本来なら
1日四百房も進めるべき日が - マルシェの日は
ほぼ収穫が進まない
この日が
週に何日も出てくると、
収穫全体がどんどん後ろにずれていきます。
収穫期が遅れると、待ってくれない
ぶどうは、
人の都合では待ってくれません。
収穫が遅れると、
- 房が弱る
- 傷みが出る
- 最終的には
木にぶら下がったまま腐る
売り先が足りないのではありません。
ぶどうが無いのでもありません。
時間が足りなかった。
それだけでした。
「分散」は、現場では「遅延」になることがある
マルシェ、直販、農協出荷。
選択肢を増やしたつもりでしたが、
現場では、
- 作業が分散する
ではなく - 収穫が止まる日が増える
という形で、現場に跳ね返ってきました。
という結果になりました。
このとき初めて、
「出荷先を増やすこと」と
「収穫が回ること」は
別の話だと痛感しました。
あのとき、何が足りなかったのか
今振り返ると、
足りなかったのは、
- 努力
- 根性
ではありません。
設計でした。
- 自分一人で回るのか
- どこが限界なのか
- ピークをどう超えるのか
これを考えないまま、
数字だけを追っていました。
売上を伸ばすことと、回ることは別
この失敗で、
はっきり分かったことがあります。
- 売上を伸ばすこと
- 経営が回ること
これは、
まったく別だということです。
売上は増えても、
- 体は壊れる
- 判断は雑になる
- 品質は落ちる
それでは、
続けられません。
まとめ:増やす前に、立ち止まるべきだった
規模拡大そのものが、
悪いわけではありません。
ただ、
- 自分の体力
- 作業量
- 管理能力
これを無視して増やすと、
必ずどこかで破綻します。
私の場合は、
ぶどうを腐らせたことが
そのサインでした。
このブログのスタンス
このブログでは、
「うまくいった話」よりも
「失敗から何を学んだか」を書きます。
規模拡大主義にハマったのは、
私自身です。
だからこそ、
同じように
「もっと増やさなきゃ」と焦っている人には、
一度、立ち止まって考えてほしいと思っています。
売上を伸ばす前に、
ちゃんと回るかどうか。
それを考えることが、
長く農業を続けるための
一番の近道だと、今は思っています。

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