新規就農10年目のリアルな収支モデル

― 脱サラから「壊れない農業」にたどり着くまで ―

はじめに

「農業で本当に食べていけるのか?」

これは就農前、誰もが抱く不安です。
私は脱サラして新規就農し、今年で10年目になります。

今の経営は、

無理をせず、壊れず、続けられる形

に落ち着いています。
この記事では、机上の空論ではなく
実際に回っている数字を公開します。


現在の経営規模

項目内容
経営面積約1ha
ワイン用ぶどう約5トン
生食用ぶどう約8,000房(約4トン)
合計収量約9トン

高単価の生食用と、
安定して売れるワイン用を組み合わせた構成です。


売上と所得のリアル

区分金額
農業売上約500万円
課税所得約300万円

この水準は、

  • 借金を返せる
  • 設備を更新できる
  • 生活が回る

という「農業として壊れないライン」です。


なぜ以前は800万円あったのか

以前は、ECサイトでの直販と宅配をフル稼働させ、
注文対応・箱詰め・発送・問い合わせまで回して
売上は約800万円ありました。

しかし現在は、一人経営になり、
この作業量を回すのは現実的ではありません。

そこで、

農協出荷中心の安定運用

に切り替えました。

売上は下がりましたが、
作業負荷と経営リスクを下げて
「続く農業」にシフトした判断です。

これは後退ではなく、経営のサイズ調整です。


副業140万円+社会保険が経営を守る

私は農業のほかに、
**年140万円の給与収入(社会保険加入)**があります。

これがあることで、

  • 国民健康保険・国民年金を回避
  • 医療費リスクを企業が負担
  • 農業が不作の年でも生活が守られる

という大きな効果があります。

さらに社会保険には、

傷病手当金(最長1年半、給与の約3分の2)

という制度があり、
病気やケガで働けなくなっても収入が途切れません。

これは、

天候リスクだけでなく、体調リスクまでカバーする

極めて強い経営の土台です。


なぜこのモデルが強いのか

① 収量を欲張らない

1haで約9トンは、ぶどうとしてはかなり余裕のある設計です。
無理をしないことで樹勢が安定し、病害が減り、翌年につながります。

② 生食+ワイン用の分散

生食用は高単価だがリスクが高い。
ワイン用は単価は低いが必ず売れる。
この組み合わせで、天候と病気のリスクをお金で分散しています。

③ 融資が使える数字

売上500万円・課税300万円は、
日本政策金融公庫などの融資審査で十分に通る水準です。
ハウスや雨よけに投資しても、キャッシュフローが回ります。


新規就農者が目指すべき現実ライン

多くの人は年収1000万円を目指しますが、
農業では危険です。

現実的で強い形は、

農業300万円+副業100〜200万円+社保

この構成です。

これなら、
天候リスクに耐え、融資が組め、生活を守れます。


まとめ

新規就農10年やって分かったことは、

農業は「最大化」より「継続」が勝つ

ということです。

要素目指す形
面積1ha前後
売上500万円前後
副収入100〜200万円
社保できれば加入
投資ハウス・雨よけ

この形は、脱サラ就農でも十分に実現可能です。


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